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。はにかむ



【落語】第51回 扇辰・喬太郎の会

 
2007年10月06日
国立演芸場

挨拶
春風亭正太郎 「桃太郎」
入船亭扇辰 「お血脈」
柳家喬太郎 「熱海土産温泉利書 八王子」「カマ(仮間)手本忠臣蔵」
入船亭扇辰 「幾代餅」

■挨拶

幕開いて、扇辰喬太郎が並んで挨拶。猫背に座った扇辰の帯がやや胸高に上がりおばあさんのようになっているのが可笑しいような、悲しいような。
扇辰が「まず最初にお詫びを。わたくしに至っては50回目です。」と笑わせながらも、体調不良で休演となった前回のお詫びを。ついでに喬太郎を指さして「やれば出来るんですよ。(日頃)芸惜しみしてるんですよ。」に、口も出さずに薄く笑う喬太郎が、「私は本日52回目くらいの心持ちです。」と笑いで空気の入れ換えをする。
ちなみに、楽屋には前回同様に橘家文左衛門が"遊びに"来ていて(心配して来ているんだろうけれど、そこを「遊びに来ていて」、と云う軽さがいい)「大丈夫だよ、俺、着物持ってきてるから」と軽口を叩いているそうな。

喬太郎が振った「沢尻エリカさんから何か一言ありますか?(←ちょっとウロ覚え)」に対して、受けた扇辰は腕組みをして不機嫌そうな顔をする。いけすかない表情も男前だなぁ、扇辰。

そして、二人して「次は春風亭正太郎さんです。盛大な拍手でお迎え下さい。」で挨拶終わり。
すごい終わり方だなぁ。正太郎もさぞ出づらかろうなぁ。

■桃太郎

先ほどの先輩方の「盛大な拍手」を少しいじる。したたか。頼もしい。

「お父さん、年金のことよく分からないんだよ、難しくて」
「そういう角兵衛獅子の親方みたいな事言わないの」
が妙にツボだった。

■お血脈

「いいですね。本当にいいですね。」と切り出す。「こないだは、ここまで来ていたんですけどね。」

病み上がりの扇辰に向かって「扇辰~、お前爺ぃになったな~!」とデリカシーの無い事を言った白鳥の話も、(白鳥の云う通り、表情にやつれた影はあるのですが、、)高座から扇辰本人の口から聞けるとなんとなく嬉しい気持ちになるから不思議だなぁ。

お血脈は、まず善光寺の由来をじっくり。このジワジワと話が身に染み込んでくる感覚が好きなんだよ。

お血脈を盗ませる人物の選考会議の際、鼠小僧やアルセーヌ・ルパンと並び何故かこの時代に羽賀ケンジが含まれて居ます。死んで地獄に落ちたらしい。実は未来の話なのかもしれない。
なんだかんだと善光寺への派遣は石川五右衛門に決定。一方その頃、当の五右衛門は地獄ヒットソング集を片手にカラオケ三昧。では歌っていただきましょう、石川五右衛門さん「蛸八の戦死」です。

 (「国立の高座で歌うのは初めてだ」とか云いながら)
 昨日召された蛸八が、蜂に刺されて名誉の戦死♪
 蛸の遺骨はいつ帰る♪
 骨がないので帰らない♪
 蛸の母ちゃん悲しかろう♪

「昔、兄弟子が(蛸八の戦死を)鈴本で歌ったら、お席亭に"10年早い"と叱られた」と云いながら、続きましては「東京ホテトル音頭」。え?地獄のヒットソング集に収録されてるの?地獄ではヒットしたらしい、、、。

 公衆電話のダイヤル回し♪

「ダイヤル回す?古い歌だなぁ」とチャチャを入れながらも錦糸町編を歌いきる。歌いきったところで「チンチーン」と鉦が鳴る。
「愚にも付かぬ歌だな。なるほど、こうやって時間が延びるワケだ」と五右衛門。あくまでも五右衛門のセリフ。
「アンケートには"こういう話は似合わない"とか書かないで貰いたい。こちらも芸風を広げたいんだ。」いや、あくまでも五右衛門のセリフ。

最後の芝居がかったセリフは少々遠慮気味。
お声がいいから、もうちょっと張って貰えたら嬉しかったなぁ。

・他、つれづれ
酒のつまみの話で「肝が好きなんですよ、肝系。もう一人の人は揚げ物が好きなんです。」
扇辰漢字一口メモ:「一丈二丈の丈は、高座が陽気で楽屋が陰気の円丈師匠の丈」
「白金を潰せとはプラチナ(不埒な)奴。」
閻魔の支持率が33%を下回る

■熱海土産温泉利書

近代デジタルライブラリーで全文読めます → 熱海土産温泉利書

さておき、喬太郎。「恐怖の町」で登場。メタボが今夜も騒ぐのか SRI♪SRI♪

「世の中には色々な芸人さんが居るもので、、」から入り、マクラはファッションの話と特撮の話。

ライフで買った「ザ・洗いざらし」が定番だった喬太郎を見かね、8年前に「とある芸協に行った兄弟子」がプロジェクトリーダーとなり喬太郎改造計画チームが発足されたそうな。計画は破綻無く推進され、現在ユニクロ(XL)と科特隊キャップ(2800円)を小粋に着こなすまでに。
むっはー、ザ・洗いざらしとユニクロのお洒落の違いが分からねー。

【落語】第51回 扇辰・喬太郎の会_b0026188_161763.jpgそして、これが「ザ・洗いざらし」のタグ


続いては、特撮話。「分かっているんですよ、こういう事言うから伸びるって」
そらもう、放映したばかりのウルトラセブンXの話題に決まっているでしょう。しかし、「ウルトラセブンX見た人、手を上げてー」とか言われて、40近い独身女が無邪気に手を上げるとでも!?

喬太郎が言うには「ウルトラセブンXの造形、何あれ。造形が悪い。」
いや、造形の全工程を悪く言われてもなぁ、、、流石に造りはいいんですよ。問題はデザイン画の段階なんじゃないだろうか。あれは酷い。セブンの名前を出せば数字が稼げるとでも思っているんだろうか。何もセブンじゃなくても。
もっとも、わたくしの中でウルトラシリーズはレオで終わっているのですが。

ちなみに、喬太郎がいたくすすめるバルタンストラップは こちら をご参照。なんと全国展開。
佐賀のイカバルタンは こちら で、北海道のヒグマに齧られているバルタンは こちら 。個人的には京都の 新撰組バルタン がおすすめ。

このマクラから熱海土産温泉利書に入るとは。
浅草で通しを聞いたっきりで、一年半ぶり。
今回は濱が金造と出会い騙されて苦界に身を沈めるまでの話。番組には「八王子 金造」とある(この呼び方に慣れないなぁ、、、)

基本、映像に主として映るのは、濱と金造とお澤の3人。この3人が代わる代わる話すシーンは巧み。囲炉裏端では無く、カジノのテーブルにも見える。騙される女と、騙す男。そして騙す男とグルになっている女ディーラー。

・他、つれづれ
「今日、海胆捕れちゃって」(こん平さん喬の会のお客さんが少ない理由が)
「権太楼師匠はいつもシャツの襟を立てている。それがいつも微妙。」
「高校の時、丸い眼鏡してました。よく言えば魯山人。悪く言えば山陽。」よく言えば、魯山人て。

■カマ手本忠臣蔵

出囃子はホテトル音頭。

マクラはリクエスト集計の結果について。前回といささか重複。

「1位は5票の居残り佐平次、、、、できませんッ!」
「2位は4票の黄金餅、、、、、、、できませんッッ!!」

本人が言うには「仁に合わない」そうだが、そういうもんなんだろうか。居残りが植木等風にして、東宝版「日本居残り時代」をやってみたいとは云うけれど、、、うーん、いつ聞いても複雑な思いだなぁ。絵にはなるけれど。

と、ここでおもむろに魚の形の風船を取り出し膨らまし始める。膨らんだのは真サバ。(ガチャガチャの"AIR市場 秋の漁場"と云うもの)
むっはー、そんなもん出されても。うはは。
めくりの横に放り出したサバを拾いにくる扇辰がいい味出してた。

カマ手本忠臣蔵に入る前に、忠臣蔵のキャストを落語家から選び出す喬太郎。
大石内蔵之助(え?大星由良助じゃなくて?)は志ん朝。んふーんふーと物真似しながら陣太鼓を叩く仕草。
浅野内匠頭は「菊之丞でもなく、、、三三でもなく」と花緑をあげる。茶坊主は白鳥で、堀部安兵衛は談春。談春のキャスティングにはいたく自信があるようだけど、ことごとく外しているところが面白い。しかし、権太楼が吉良上野介と語る喬太郎になんかこう、、、妙なわだかまりがあるように見えてしまうのは何故だろう。なんか、名を挙げる時の間の取り方が"異様"なんだよなぁ、、、うーむ。

「見た目で選べば、さん喬も大石。でも、陰気なんです。」

それにしても「大石はやっぱり吉右衛門丈ですね。幸四郎丈は大石にしてはコケている。勘三郎丈は大石演るには歳が若いような。」は、喬太郎の観劇眼が窺えて興味深い。そういえば、師匠のさん喬の"百年目"で、幇間が番頭を大星由良之助に例えて持ち上げるセリフに「。「七段目。旦那は幸四郎で、立女方は時蔵。」があるけれど、あれは当代を指しているんだろうか。

・他、つれづれ
喬太郎所有のお宝は談志の二枚組みのLP。一枚まるごと居残りで、残りの片面が野ざらしの稽古風景。そしてもう片面が選挙演説。選挙演説て。

何なら正蔵だって継いじゃうよ! 他意は無いの。こういうのすぐ広まっちゃう。」

「吉良様、顔だけみると川柳川柳。」

「上下切ったらビックリ。中学の頃の同級生が居たよ。」

■幾夜餅

うーん。
by bithoney | 2007-10-07 00:53 | :芝居浄瑠璃芋蛸南瓜
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泣くが嫌さに笑い候。

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