2007年07月17日
国立演芸場
鼎談
三遊亭白鳥 「お菊の皿」さゆりのセーラー服
柳亭市馬 「お菊の皿」
柳家喬太郎 「お菊の皿」後日談
■鼎談
幕が開いて、下手から喬太郎・市馬・白鳥が並んでご挨拶。
喬太郎 「面目無い気がします」
市馬 「いや、面目ない」
こちらこそ、面目ない。
市馬はネタおろし。
「この話が無ければ、生涯やらなかった」との事。
喬太郎は持ちネタ。
残る白鳥はと云えば
「二つ目時代に、地元でやった"新潟名人寄席"で話した。後、芝浜とか井戸の茶碗とか話した」
ど、どこから突っ込めば良いのだ。
"名人"寄席て。"芝浜"て。
動揺が隠せず微かにざわめく客席にはお構い無しに「お菊の皿は地元でも受けなかったな」とシレっと語る白鳥。
流石は、白鳥。自分の立ち位置を明確に示す。これを無意識でやってるとしたら、おそろしい天才だ。怖い人だ。努力や鍛錬で芸を磨く姫川亜弓タイプとは対角に居る、センスで生きる北島マヤタイプな白鳥。
ふと、マヤと亜弓のダブルキャストで公演された「奇跡の人」を思い出した。
ただ、白鳥とマヤの溝は「理解者」の有無かもしれないなぁ、、、。高座を転がる様を面白がる人だけじゃなくて、転がる軸を見てくれる人が何人いるのか。あ、偉そうな事抜かしてらぁ。
それはさておき。
話題に構わず、話したいように話す白鳥に向かって、喬太郎が
「聞けよ、人の話。お前は(中村)福助か。」
と発したのに苦笑い。
いや、あれは福助の皮を被った「名探偵 中村歌留多」なんですよ。
(しかし、、、最近の福助はどうしちゃったんだろうなぁ、、、ブツブツブツブツ)
圓彌は「播州 皿屋敷」の型だったとか、二代目の三木助やら小南の話をしている様は、すっかり、喬太郎と市馬の対談の体。しかし、横でボンヤリしている白鳥の存在感たるや。
ただの対談じゃ、物足らない。豆腐だけでも確かに旨いが、その豆腐に薬味がついたような、そんな面白み。
岡本綺堂の番町皿屋敷やら、文楽の播州皿屋敷の話やらが出てくる所も嬉しい。
他、つれづれ
白鳥 「俺、こうみえても器用なんですよ。俺、突っ込むから、兄さんボケて下さい。」
喬太郎 「ふらないとボケようが無いんじゃないか?」
喬太郎「(客席に向かって)落語以外で皿屋敷の話を聞いたことの無い人居ますか?」
白鳥 「(力強く)はい!」
(白鳥に喬太郎が)「緯度の茶碗とか言って、経度とか云ったんでしょう」
■白鳥
マクラは一龍斎春水(森雪の声でおなじみの麻上洋子)の話。
一緒に仕事した春水が、昔憧れていた森雪の声優だと知った時の感想が
「俺は、あんなおばさんをオカズにしていたのか」
アグネス・ラムはどうした、白鳥。しかし、失敬な。
古代守と古代進を間違えたのはご愛嬌。「森雪と言えば、古代守の相手役ですよ」それじゃあ、ささきいさおの嫁さんだ。
本編の舞台は現代。オタク青年二人を中心に話が進む。
この青年らは、高校時代、所属していたアニメ研究会の先輩後輩。
このアニメ研究会も、元は落研だったと云う力技の設定。先輩のあだ名は「歌丸」後輩は「木久蔵」(これがサゲへの仕込みに)
お菊は「一条さゆり」と云う名の美少女に変更され、皿では無くセーラー服を数える。皿の代わりにセーラー服て。
そして、幽霊のさゆりが出てくるのは丑三つ時ではなく、午前0時。そこも現代的。
後は、中途半端はオタクネタが痒い。
「東京ドームのコミケ」とか「うる星やつらって、高橋留美子先生の一番有名なアニメだよ」とか。
か、痒い。
サゲは「歌丸に木久蔵。それで幽霊を昇天(笑点)させた」
他、つれづれ
「養老ビール」 え、まだあるの?養老ビールって。
「通りすがりのアニメオタクです」
「池袋西口のフランス人形おじさん」 すごい飛び道具を出してきたなぁ。
■市馬
まずは白鳥評。「余りの見事なオチで、、、」
後は、怪談話と云うことで、正雀や正蔵(先代)の話。
さて、本編。
苦手意識があるのか、
お茶を濁すお遊びが多く入る。
皿屋敷の話を聞きに来た若い衆が「隠居には色々聞いてきましたよ。千早振るの意味とか、子供の誉め方とか」と語ったり、お菊の公演チケットはインターネットで即日完売だと話したり、公演の司会者が「オールバックでタキシード姿の玉置宏」だったり。
そして、待ってました。市馬、いや、お菊ちゃん歌謡ショー。
1曲目は「ああそれなのに」
♪青山鉄山、憎い人。お皿を一枚隠したよ~、ああうらめしいうらめしい
2曲目は「憧れのハワイ航路」♪
♪暗い井戸~、落とされて~、青山鉄山、悪い人~
3曲目は「千の風になって」
見得を切りながら皿を数えるお菊ちゃんを見て
「白鳥や喬太郎と付き合うから、演技が臭くなった」
他、つれづれ
(玉置宏がお菊ちゃんの公演の司会をしているのを見て)「にぎわい座は大丈夫ですかね」
(お菊ちゃんに向かって)「おい、バカ女。歌いたいだけ歌いやがって」
■喬太郎
「第二部は歌謡ショーでした」
お菊の皿の後日談。
つじつまの危うさが垣間見えながらも、それを押さえ込んで聞かせてしまう喬太郎の力強さ。
死にたいと願う人々がお菊の呪いを受けに集う姿の気味の悪さが印象的。
しかし、損な役回りだなぁ、、、喬太郎。持ちネタをあえて改作しなくてはいけない位置に回るか。
サゲ「その気はサラサラ(皿)なかったんだろう」
他、つれづれ
「そういうのって、ネットで広まるんですよ」
「熱いお湯で」
「熱湯じゃないです」
・ごたく
好きな落語家が3人まとめて出るのが魅力で、この「それぞれ」の会を見続けているのですが、
内心は複雑な思い。うーん。
「かわいいチワワちゃんを散歩させるのってかわいーと思うのー。」と言いながら、演者にチワワちゃんを渡して外に放り出すような、、、。
企画自体に「ウンコ袋持たずにチワワを散歩させてる」ような、やりっぱなし感が匂ってしまう。
なんかねぇ、、、演者がチワワのウンコを手づかみで拾いながら歩いてるイメージが湧いてしまうのです。
まぁ、勝手なわたくしのイメージなのですが。うーん。