友人内田(仮名)が子猫を拾った時の話。
トラ猫で団子のような短い尻尾だったので、「クルツ」と名づけていた。
内田(仮名)クルツ。
なかなか音がいい名前だ。
連日、子猫をいじりに行った。
それで無くても子猫と云うのはダメなところまでがすみずみ可愛い悪魔なので、
「ああ、おまいはなんでこう、心とろかす憎いヤツなんだ」とメロメロだった。
「ああ、心とろかす憎いヤツ」
「心とろかす憎いヤツ」
「心とろかす憎いヤツ」
「心とろかす憎いヤツ」
子猫を抱きつつ、オーバーアクションで四畳半の対角線をごろごろ転がりながら(別名ノルウェーの森ローリング)愛を育んだ。見ろヨ、空は青いゼ。心とろかす憎いヤツめ。
とうとう友人内田(仮名)からクレームがついた。
「うちの子は、自分の名前を"心とろかす憎いヤツ"だと刷り込まれてしまった。」
内田(仮名)心とろかす憎いヤツ。
悪くない。