昔、「君は恋をするとどうなるんだ」と尋ねられ、
口説かれているのか、からかわれているのかの匙加減も知らぬ頃だったので、
ただ真面目に
「どうしようもないので、ひたすらにまっすぐに歩きます」
とその時は答えたのでございます。
あちらはあちらで、
誘いに乗っているのか肘鉄食らわされたのかが分かる年頃の方だったので、
この答えを冗談だと思ったらしく
「君は存外詩人だ」
つまらない大人にはなりたくないですね。
かけひきだけが人生か。
さておき、あの頃、恋に酔ったわたくしがまっすぐ歩く先々にあったものに謝らないといけません。
幾つもの路上駐車の車を乗り越えて歩いたことか。