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【落語】三遊亭白鳥・柳家喬太郎二人会 デンジャラス&ミステリアス


2007年10月11日
イイノホール

挨拶
柳家喬太郎 「午後の保健室」
三遊亭白鳥 「サーカス小僧」「アジアそば」
柳家喬太郎 「ハワイの雪」

■挨拶

閉じたままの幕の前に喬太郎白鳥が並んで挨拶。
舞台の中央が分からず、喬太郎に促され6歩ほどずれる白鳥。相変わらず、地味な計算でこつこつとボケる。
足元をみると、白鳥はクロックスのカーキ色サンダル。イイノホールの落語会の舞台にクロックスのサンダルて。そういえば、前回は赤いクロックスを履いて「これ、いなせな雪駄だって褒められるんだ」と力説していた。

天然と見せかけて、二進法でこつこつとボケを養殖する(未来を見つめているような)計画性が面白い。年々、白鳥の底力(というか脅威)が分かってきたような気がするんだが、何故か「コルホーズ」とか「五ヵ年計画」って言葉も頭によぎって仕方無いので、本当に理解できているんだか、わたくしったら。

喬太郎が「19:00始まりだとお思いのお客さまもいらっしゃるのではないか」と言いかけると、「俺も19:00だと思ってた」と白鳥が遮る。続けて「18:30頃(家を)出ればいいかな、って」とボケる。でも、本当に18:30に家を出てヘリコプターなんかでやって来たらすごいな。大門軍団の渡哲也みたいなカンジで。ショットガンで喬太郎を狙撃しそうな予感。

後は、イイノホールの話に。

 白 「終わる終わると言いながら、浅草(演芸ホール)みたいに続くんじゃないの?」
 喬 「じゃあ、(イイノホールの)上に東洋館が建つの?」

と切り出し、後は東京落語会の話題へ。

 喬 「笑い声が起こらない」
 白 「(新作の勘当舟で高座を転がると)前に座ってたおじいちゃんが『無礼者!』だってさ」

色々と、東京落語会の客層を(ややオーバーに嫌う演技で)いじり倒す。そらまぁ、始まる前から口開けてスタンバイしてくれている今日のお客さんとは真逆な層だもんなぁ、、、。

ただ、東京落語会のお客さんは笑うだけじゃなくて、落語家がとてもいい間(魔)を作ると素直に唸ったり息を呑んだりするところが好きです。そういう雰囲気は最近の落語会ではなかなかお目にかかれない。(俺は團菊ぢぢぃか)

 「そういう(東京落語会寄りの)お客はこういう(喬太郎白鳥寄りな)ところじゃなくて市馬落語集に行け」
 「落語集の集が臭いの臭みたいな。市馬アニさんが加齢臭みたいな。」

ヒィー、すごい会話だ、助けてウサミミ仮面。市馬を捕まえて加齢臭て。

学校講演などの話の後、支度のため喬太郎が引っ込み残る白鳥。一人になったとたん、仕切りが良くなる。この切り替えの巧さ。
ちなみに、一人残っての話題は林家きく姫と一緒に行った学校公演での"仕草クイズ"について。きく姫に焼き芋を食べる仕草をさせてそれを子供達に当てて貰おうとしたが、きく姫は筒状に丸めた手ぬぐいをいきなり口に突っ込む力技に出てしまった。しかも、後になって尋ねてみたら、当のきく姫は焼き芋の仕草のつもりでは無かったと言う。

 きく姫 「あれは、ちくわぶです」
 白鳥 「ちくわぶを素手で食わないだろう!」

いや、もしかすると喬太郎の"本当のことを言うと"の仕草だったのかもしれないぞう。そうか?

他、つれづれ
 喬 「知らない者同士だから分かり合えるんだよ」
 白 「喬太郎の志ん朝の物真似なんか知らない人みたら、竹中直人だと思うよ」
 喬 「やらないよ、知らない人の前じゃ」


■午後の保健室

ホテトル音頭で登場。しかし、出囃子に手拍子する客層ってすごい。楽しいなぁ、うはははは。

マクラは学校公演の話。何度聞いても面白い。
けれど、長い。長い。

他、つれづれ
(電話がなった客席に向かい)「お電話、お電話でーす。マクラ(の最中)でよかった。もし、良かったら用のある人、ここで一斉に電話しておきましょうか?」
「夕べ始まった働きマンって結構面白かったですね。菅野美穂ちゃんは演技が巧い」

■サーカス小僧

照明を落とす。暗い会場。
この方は、やけに暗めの照明がお好みなような気がする。

白鳥の新作のはちゃめちゃぶりは決して"自由闊達"な物ではなく、影がある。落語の敵を落語で討とうする恨みがましさのような、例えば古い家屋の光の届かない廊下の億のカビ臭さを感じるんだが、それはこの暗い照明に象徴されるんだろうか。

話は、出稼ぎの母像を探しに、タイから日本へやってきた小象の象太郎(日本での芸名。本名はマルコ)がサーカスで奮闘する、、、と云った流れ。そして、いずれ小象は初代"中村仲象"を名乗る事に。

この話のまとめは以下のセリフかもしれない
「今、オッパッピ!とか言えば笑うんだよ。簡単なんだよ人間笑わせるのは」

そして見所は白鳥の三点倒立。

他、つれづれ
「浅田真央ちゃんじゃなくてアサダ二世じゃないの?」「どちらも舞台で滑っています」
「俺は筆箱じゃないんだから、踏んだら壊れるぞ」
「母を訪ねて三千里薬局(上野広小路店)」
「トリが取れるのはサーカス生まれの子供とか孫だぞ」

■アジアそば

中入り後でも、またもや暗い照明。こだわるなぁ。まさか、この明るさでアジアそばが始まるとは。

「私は、そよ風のようにすぐに去ります」と始める。

池袋のスナックランドの話はもっと聞きたかったなぁ。丼を持つと油でべたべたするあの感覚が蘇る。

「盛り蕎麦の何が切れてるの?」
「盛りです」

「スナックランドの焼き蕎麦は、必ずコオロギがトッピングされていた」
そうそう、懐かしいね、、、っておい(と寒いツッコミを入れてみる)

■ハワイの雪

ところで、マクラでいじってた「61年前、板橋区の占領下にあった練馬区の独立」はシャレじゃないんですよ、、、
 ⇒板橋区から独立して60周年の記念にシンボルマークまで作っていた練馬区

 ↓勝手なイメージはこんな感じ

 「ジーク・ネリマ!ジーク・ネリマ!ジーク・ネリマ!」
 「諸君らが愛してくれたネリマ ・ザビは死んだ。
  何故だ!
  我がネリマ住民よ!今こそ悲しみを乗り越え、そして怒りの炎を胸にこめて立ち あがるのだ!」
 「ジーク・ネリマ!ジーク・ネリマ!ジーク・ネリマ!ジーク・ネリマ!ワアアアア(割れんばかり)」

 うわー、板橋が落とされちゃうよ。

蛇足ではありますが、参考画像:ネリマ・ザビ様の最期
【落語】三遊亭白鳥・柳家喬太郎二人会 デンジャラス&ミステリアス_b0026188_14361948.jpg



そんなネリマの熱い野望に影響されてか、越後の飛び魚ことおじいちゃんは序盤で仕込みを忘れる。

 孫 「おじいちゃん、まさかと思うけど仕込み間違えてない?」
 爺 「もう一度言うぞ」

終盤、すすり泣く人がちらほら。
最後(かもしれない)のイイノホールで新作のみで会を構成した目論見は、この客席の反応からして成功だったんだろうなぁ。新作で固めたエゴに近い自信や手向け方が、とてもかっこいいと思えた。
(本当は古典を期待してたんだけど。でも、"やんねぇだろうなぁ、、"って予感もうっすらあったり)
by bithoney | 2007-10-12 00:05 | :芝居浄瑠璃芋蛸南瓜
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泣くが嫌さに笑い候。

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