2007年04月07日
国立演芸場
三遊亭玉々丈 「無学者」
柳家喬太郎 「たらちね」 「擬宝珠」
橘家文左衛門 「夏泥」
柳家喬太郎 「愛宕山」
扇辰休演。
■無学者
二子玉出身だからたまたまじょう。少し中村志のぶに似ている容姿。
「あ、まちがえた」から修復する度胸。これからが楽しみな方。
■たらちね
たっぷり。
清さんが幸せになれそうかどうか、、、がわたくしなりのたらちね鑑賞法なのですが、喬太郎の清さんは、いずれ八っつぁんを尻にしいて楽しく暮らしてゆきそうな明るさがある。隣のばあさんもいい人だし(喬太郎の演じる隣の婆さんは本当にいい)、いいとこに嫁いだね清さん。
本当に清さんには幸せになって欲しい。
で、お次は扇辰、、、のはずが出囃子は「まかしょ」。めくりを持った玉々丈も狼狽気味(狼狽気味ではあるが、しっかりしている。器がいい。)、「まかしょ?」「まかしょ?」と少しざわめく客席。
そして、喬太郎再登場。
座布団をはずし、扇辰休演を知らせる。楽屋入りはしたけれど、突然体調を崩したそうな。心配だ。喬太郎自身も心配そうなんだが、そこは客を目の前にしているのが辛いところで、そんな最中にも客を気遣い楽しませようと気分を変える。
■擬宝珠
「扇辰喬太郎に何を演って欲しいか」のアンケート報告。
誰だ、ガーコンに票入れたのは!うははははは。立ち上がって「ガーコンガーコンガーコン」とサービスまでしてくれる喬太郎(扇辰の件を聞いた直後なので、そのサービス精神が有難くてなんだか泪が滲んだ)。
居残り佐平次に2票入ってたそうな。
喬太郎は「居残りは植木等の無責任男だと思うんです」と話す。嬉しそうに、クレイジーの面々で居残りをやったらどうなるか配役を語ったりする。
そこで、さっき見た談春の居残りが「サラリーマン」っぽいのは何故なのか合点がいった。なるほど、この世代の人々(演じる方も見る方も)に「植木等」が刷り込まれているのか。それはある意味呪縛でもあるなあ。社会の片隅での出来事じゃなくて、会社のフロアでの出来事になってしまうのか。
クレイジーキャッツ風居残りはそれはそれで面白そうだし、それを喬太郎が演じるとなればたまらなく面白いんだろうけれど、、、なんか複雑な思い。とは云いつつ、わたくしも青島幸男の影響は過大に受けているし、それが時代と云うものか。
オマケに「酒の粕」をさらりと流して、咄家のモノマネで再び「酒の粕」。与太郎は三平。それにからむ人々が「志ん朝」「談志」「円生」。お客さん大喜び。
金物を舐める、あの電気がたまらない気持ちは分からないでもない。
崇徳院でもない、幾世餅でもない、千両みかんでもない、、の肩透かしを食らわせる繰り返しが面白い。
■夏泥
白地に浅黄色の大きめな市松模様の一重で登場。喬太郎の借り物。でも足袋はサイズが合わず、。「さかさか歩けば分からない。」と濃いグレーの靴下で。
「じゃあリクエストある?」
「らくだ!」
「思い出すのに2時間かかるからなあ。」
「青菜!」
「去年の夏演ったきりだからなあ。 」
で夏泥。いいなあ、、、このやりとり。
■愛宕山
愛宕山じたいはなんだか硬かった。
マクラの「立ち食い蕎麦」の話は、日の当たらない「ウインナー天蕎麦」にスポットを当てる。
立ち食いなんか召し上がったことのない上流階級の方々へ
「ウインナー天蕎麦」とは、要はかけ蕎麦にウインナー
(といいつつ、これが魚肉ソーセージなんだ)の天ぷらを
乗せたもんです。380円から420円が相場。
縦に裂かれる魚肉ソーセージの悲哀をバルタン星人に喩える喬太郎。
ここで引き合いに出されたバルタン星人はおそらく、「縦に裂かれる」様と魚肉ソーセージの細いフォルムを鑑みるに、二代目バルタン星人。
「こう(と、頭にチョップする仕草で)裂かれて、バルとタンにされちゃうんですよ!」
(あれ?二代目バルタンって頭から裂かれたんでしたっけ?覚えてないなあ。)
ああ、これだけでおなかがいっぱい。幸せ。
扇辰がとにかく心配だが、今のところ公式HPにも特にニュースは無い様だし。
便りが無いのは無事な証拠、、と。思いたい。
ところで、今回の「たらちね」はブルータスの落語特集付録のため録音していたそうな。
この雑誌の、読者を見下したいけすかねえ姿勢は相変わらずなんだろうか。だとしたら手にも取りたくないな。け。