2007年03月17日
有楽町朝日ホール
三遊亭歌ぶと 「たらちね」
古今亭菊朗 「羽織の遊び」
三遊亭歌武蔵 「強情灸」
古今亭志ん橋 「井戸の茶碗」
柳家喬太郎 「白日の約束」
桂歌丸 「お若伊之助」
朝日名人会は楽しみな会。
パンフレットに掲載されている京須さんの話もいつも楽しみ。
でも、たまにドキっとする事が書かれていたりしています。
今回もこんな事が、、一寸抜粋すると
>>昭和の昔、戦争をはさんだ社会激動の時代に落語を時世に合わせようと
>>焦って駕籠を無闇に人力車に変えたり、時刻や金額だけを昭和並みに
>>してしゃべったりする落語家がずいぶんいたものでしたが、今はそんな
>>取越苦労無用の落語環境になりました。まずは結構なことです。
「
無闇に」とか「時刻や金額
だけを」と強調した言い方が手厳しい。
続けて書かれた下記は更に厳しい
>>(取越苦労時代そのままを継承してしゃべるはなし家さんもまだまだいます
>>けど、極力朝日名人会にはお招きしないようにしているつもりです。)
この(かっこ)付けで追記するところが、厳しい、、、、
何が厳しいって、これは落語家さんに対して発した言葉じゃなくて落語を聴いている我々への苦言なんだろうなあ、、、と思えるところ。喉っつぁきに冷たいのを押し当てられる感覚。厳しいなあ。
聞く我々の素養や教養だのが錆びてしまうから、致し方なく落語家さんも「取越苦労」な落語をせざるを得ないわけだものなあ、、、。
いや、もちろん、落語を聴くのに資格が居るなんて話をしているンじゃないけれど。でも、聞く側にも責任ってあるんだろうな。
ところで、朝日名人会って前座さんも粒より。今回の歌ぶとも楽しかった。
清女の名前を聞いて驚いた八五郎が「そんなに長くちゃ火事の時に逃げ出すのも大変だ」と取越苦労(あ、また出た、取越苦労)するサゲ。
この八五郎さんはなかなか小汚い。布団をひっくり返すと色々なキノコが生えていたりする。こんだけ手の掛かる旦那さんなら、むしろ清女さんに張り合いが出て夫婦仲も良くなりそうだなあ。
「たらちね」って、聞く都度なにか物悲しかったんですよ。漢学者を父に持つ育ちの良い娘が、なぜに八のところに嫁に行かなくてはならなかったのか。気の毒な事情が匂う。
よく聞くたらちねは、ご近所のおばさんがお節介しているようで八の住まいもちょっと掃くだけで小奇麗になる様子。だけど、歌ぶとの八の住まいはちょっとした「腐海」。そこがいい。却って清女も気が楽だろうな。自分の役割をすぐに見つけることも出来るし。
喬太郎の助六の煙管話は、歌丸へのご機嫌伺いなんじゃろか?大人だ。