ご説明:
カテゴリ「芝居浄瑠璃芋蛸南瓜」では天本の観劇メモをまとめております。
ネタバレもあるのでご注意下さい。
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■データ
第300夜 にっかん飛切落語会
日付:2005年07月12日
場所:イイノホール ・日比谷
そして番組は、
「死神」桂快治
「つる」二人落語 三遊亭好楽と三遊亭王楽
大江戸小粋組の住吉踊り
「火焔太鼓」林家きくお
「千両みかん」立川志の輔
死神…
残念ながら仕事の都合で途中から聴いたのだけど、
この死神がとてもよかった。
掘り下げが少ないアッサリした様子のようでいて、残酷で恐ろしげ
にも見えるし、とても心底気のいい人懐っこい性格にも見える。
先日、柳家喬太郎の、死神の様子がアリアリと目に浮かんでくる
素晴らしい「死神」を聴いたばかりだけど、余りにも死神の
こしらえが良すぎて、逆に聞き手の想像力が閃く隙が無かった
のよね。
自分でも贅沢過ぎる意見だと思うけれど。ただ、喬太郎の「死神」
で笑う自分が、バラエティ番組を見てケラケラ笑ってる感覚に似て
いてゾっとしたの。
最近の喬太郎は、わたくしを甘やかす。
つる…
好楽、王楽の二人かかりの「つる」。
一方が喋っている間も、もう一方の表情が見えるのが何とも
新鮮。
でも、不思議ね。一人でしゃべっているとセリフ自体や間に
無駄が無いように見えるけど、二人で交互に喋ると妙に間が
空くのよね。
火焔太鼓…
わたくし、すっかりきくお好きになりました。
「このくらいの(と指で大きな輪を作りながら)ネクタリンが売ってて」と
話したとたん、お客さんが「まさかー」とつっこむ。愛されてるわねえ。
愛されキャラ。
火焔太鼓も、主人公がきくおの愛されキャラそのまま。
きくおの火焔太鼓、いいっすよ。いいっすよ。
他にも聞きたい、きくおの落語。
千両みかん…
真夏のミカンが一個千両。
そのミカンのわずかな3房(換算すれば300両)を持ち出して夜逃げ
する番頭さんの哀しさが胸に残る。
不条理な世界なのよね。ミカンが食べたいと煩う大店のボンボン。
そのバカ息子にひとつ千両もするミカンを買ってやる主。
一方、30年も働いても暖簾分けの時20両貰えるのがそこそこの
番頭さん。
ボンボンや主が「そりゃ、千両するだろうね」と何の疑問も持たずに
ミカンの価値を受け入れる。そら、狂いますよ。
太陽が眩しかったから。そう、番頭さんは真夏の太陽が眩しかった
んですよ。