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【文楽】人形浄瑠璃 5月文楽公演 第一部

ご説明:
カテゴリ「芝居浄瑠璃芋蛸南瓜」では天本の観劇メモをまとめております。
ネタバレもあるのでご注意下さい。
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■データ
人形浄瑠璃 5月文楽公演
日付:2005年05月22日
場所:国立劇場小劇場・永田町

  演目は、
  「近江源氏先陣館」
     和田兵衛上使の段
     盛綱陣屋の段
  「冥途の飛脚」
     淡路町の段
     封印切の段
     道行相合かご




あー、ようやくレポート書けた。
(でも、第二部がほったらかし。とほー。)

近江源氏先陣館…
歌舞伎座でも三月の夜の部で上演されたばかりのこの演目。
この間も和田兵衛がたまらなくかっこよかったのですが、
この和田兵衛もおいしいとこ取り。

誤解を受けてしまいそうだけど、3月に見た歌舞伎の方が人形っぽかった。
なんと云うか、お客に分からせるための動きが大きい。泣くさまも大きい。
なのに、人形はまとっている空気が悲しみに沈んでいて、
抑えた動きに気持ちのウネリが見えてくる。
うねってるんですよ、舞台の上の空気が。

(いや、大きく見せる歌舞伎のそれが悪いと云う意味ではなくてですね。
役者さんは、見せる事が魅せる事でもあるからして。
別物ですしね、文楽と歌舞伎は。)


冥途の飛脚…
お正月の浅草歌舞伎では、市川男女蔵の八右衛門に感情移入したわたくしでございます。
男女蔵の八右衛門は、友人忠兵衛の恋人梅川に横恋慕し、公の場で忠兵衛の悪口をネチっこく言いたい放題なイヤなヤツ(そこが、却っていじらしくてねえ)だったのですが、
この文楽での八右衛門さんったら大人なんです。
身代潰す勢いで廓に通う忠兵衛のためを思い、憎まれ役を自ら演じている設定なんです。
これは万人に好かれる設定ですねえ。

と、これで終わらない。
この憎まれ役を買って出た八右衛門の「態度」がそこはかとなく「自分に酔ってる」カンジなんですヨ。
義太夫の語りがそう思わせるのか、人形遣いの呼吸がそう思わせるのか、はたまた。
聡い梅川がその心遣いに気付き傍で泣き崩れる時の八右衛門の顔ときたら。
自分にうっとりしているナルシーな表情たるや。
いいヤツなのに、どこかいけ好かない人間臭さが漂って。

あれが人形ですって?まさか。

そして、梅川。なんといっても梅川。
年頃も似通った遊女たちに混じって佇んでいるときの、思いに沈んだ姿。
手で顔を覆ってヨヨヨヨヨと泣くフリを見て「ああ、これは悲しんでいるのだな」と合点するならまだしも、この梅川、佇んでいるだけでこちらの胸が詰まってくる静かな迫力があるのです。

あれが人形ですって?ご冗談を。

忠兵衛さんは歌舞伎でも文楽でもダメダメなバカ男だから、わたくし嫌い。
梅川さんまで不幸にするなんて信じられない。

ところで、忠兵衛さんに石を投げられてしまう犬の人形がたまらなく好きです。
わたくし、本朝廿四孝に出てくる狐の人形とか、この犬の人形がたまらなく好き。
くたくた加減といい、ちょっとマヌケっぽいところといい。

セットも凝っててうっとりしたなあ。欄間が梅模様にくり貫かれていたりしてさ。
途中、禿が三味線をひくシーンがあったのですが、弦を押さえる指の動きに瞠目。
なんでも、弦を抑える専用の腕があるそうなんですが。いやはや。
by bithoney | 2005-06-01 16:39 | :芝居浄瑠璃芋蛸南瓜
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泣くが嫌さに笑い候。

by bithoney
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