ご説明:
カテゴリ「芝居浄瑠璃芋蛸南瓜」では天本の観劇メモをまとめております。
ネタバレもあるのでご注意下さい。
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■データ
林家こぶ平 改め 九代目林家正蔵襲名披露 特選落語名人会
日付:2005年05月07日
場所:東京厚生年金会館 大ホール・新宿
そして番組は、
林家一平「荒茶の湯」
春風亭小朝「涙をこらえてカラオケを」
林家木久蔵「明るい選挙」
翁家勝丸 (鞘戻し等)
口上
林家正蔵「四段目」
荒茶の湯…
「かわいい」って武器ですね。
一平の愛らしさって武器ですね。
しかも、巧くなれば巧くなるほど、その可愛げがいい隙になるし。
茶の湯の心得のない無骨な武人達が、招かれた茶会で突拍子もない真似をするって話しだけど、一平がこの話をすると、お客さんはみんなこの武人達が好きになっちゃう。
加藤清正らが大マジメに変なことをする様が「かわいい」んですヨ。
意地悪で怖い人が出てくる話しじゃなくて、こういう底抜けに楽しい人たちが出てくる話っていいな。
楽しい人々ってだけじゃなくて、楽しくて「かわいい」人々にしてしまう一平マジック。
涙をこらえて…
三平を継ぐのはわたしですかね、と惚けるマクラ。
(そこで、「ヨ!円朝!」とか声かけたら良かったですか?大人げないですか?大人の毛はボウボウですか?)
明るい選挙…
生で木久蔵の落語を聴くのは始めて。
美しく話す方なんですねえ。
でも、その美しさって歪みが無いので、感受性の乏しい人間を下手に相手にしたら「没個性」と評価されかねない。
お客さんも色んな人(あえて天に唾を吐く言い方をすれば「色んなレベルのお客さん」)が居るワケで、そこに「いやんばかーんとか云うアホのキクちゃん」ってキャラクタを造った抜け目無さに「怖い人」とも思う。
で、正蔵襲名披露にちなんで「8代目林家正蔵(彦六)」が選挙応援した時の話。
木久蔵の彦六のモノマネは子供の頃から大好きだったなあ。
真似して「ばかやろう(ぷるぷる)」とかやると、うちのおじーちゃん、彦六みたいにぷるぷるしながら喜んでたもの。
おばーちゃんの前でやると「ばかやろうはダメですよ」って叱られたけど。
翁家勝丸…
鞘戻しってはじめて見た。なんか儲けた気分。
抜き身の日本刀の切っ先に鞘をひっかけ、それを顎に乗せバランスとって、気合1つかけてスルンカチリと戻すワザ。
かっこいいなあ。
口上…
この口上、正蔵は喋らないですね。驚きました。
落語の襲名披露を始めて見たもんで、すんません。
歌舞伎みたいに、主役が最後にオオトリで話すもんだとばかり。
考えてみたら、次に落語でたっぷり聞かせるワケだもんなあ。
ちなみに、小朝さんは、毎回違う話をするそうです。すげえ。
今回は「全力投球しちゃだめ」って話でした。あはは。
四段目…
お芝居狂いの小僧さんが出てくる話に合わせて、マクラは市川染五郎の話。
「染五郎ちゃんがね」って話す正蔵の品の良さ。かなわないなあ。ホント。
いくら、染五郎を持ち上げても「いやいや、アンタこそプリンスだし」と苦笑いしてしまう。
染五郎の容姿をベタ誉めしてもイヤミじゃないとこが、また。ねえ。
舌ったらずな小僧さんの憎めない様子もいいけれど、大店の旦那役も似合ってるなあ。